
温泉オフィスの宿、正式名称は「10 Stories Stay」といいます。10 Stories、すなわち「十帖」。
この施設は朝夕食なしの素泊まり施設ですが、私の中では里山十帖の延長線上にある宿。「十帖シリーズ」の進化系とも言えます。
コンセプトは「旅をあきらめない」。
昨今、個人的に思うのですが「日本の温泉宿は高くなりすぎた」。
でも自分で宿を経営しているので、実際には「もっと高くしないと成り立たない」。
このジレンマを解決しようとしているのが、この「10 Stories Stay」なのです。
誤解を恐れずに言うと、30室未満の、いわゆる高級旅館は、もう1泊2食10万円未満では持続不可能な状態になりつつあります。
駐車場でお客様をお迎えして、館内をご案内して、夕食をご提供して、朝食をご提供して、お見送りする。簡単に言うならば、サービスの人件費だけで各5〜6000円、つまり合計3万円にはなる時代です。
さらに料理を含めると「2食+サービス」で1名あたり6〜7万円になると言っても過言ではありません。
つまり設備投資の償却や将来投資の予備費、光熱費やリネン代等を考えると、10万円になってしまう時代です。
でも逆に言うならば、お客様にとってはオーバースペックの夕食や朝食であることも多い。
出迎えと見送りに高額な人件費がかかっているのも、チェックインとアウト時間が重なるためで、このピーク時のために多くの人員を配置するから、宿泊料金が高くなるのです。
だったら「素泊まりや1泊朝食、軽い夕食プランを選べるように用意すればいいじゃない」と思われるかもしれませんが、実際には人の配置も、夕食や朝食の準備もしておかなければならないのが原則。「〇〇さん、今日は朝食不要の人が多いので、出社しないでいいです。給料もカットします」とはいきません。客室数が大きければ調整可能ですが、小さな宿では人件費の調整がほぼ不可能。つまり原則的には「ぜんぶやるか、すべてやらないか」の二択です。
それをすべてカットしたのが「10 Stories Stay」。お出迎え、お見送りはしません。
朝食と夕食もご提供しません。でも快適に過ごしていただくための備品等はご用意してあります。
特に「Yuzawa Uonuma」の場合、温泉は源泉掛け流しです。サウナもあります。客室も広めです。
それで1泊9000円〜の限界価格で営業させていただきます、という感じ。正直9000円だと厳しいのですが、しばらくはその価格で頑張ります。
「Yuzawa Uonuma」の場合は、周辺に飲食店も多数あります。「龍寿し」「欅苑」「宮野屋」……。さらに気軽な居酒屋なら「きなり」「魚沼釜蔵」。朝食は「ファームフロント関農園」でおにぎりを食べるのが最高です。
ちなみに無人施設ではありません。同じ建物内に自遊人本社があります。温泉とサウナには僕も入りますし、社員も入ります。ただしサービスは一切しません(ごめんなさい)。
ぜひ「10 Stories Stay」にお越しください。
株式会社自遊人 クリエイティブディレクター 岩佐十良






